2月の末あたりから気温が上がり始めたのを敏感に察知して畑に植えている小松菜・チンゲンサイがとう立ちしてきました。
とう立ちすると葉が硬くなってきて食味が落ちてきますが、デメリットばかりではなくそのまま花を咲かせておくことで自家採取=種取りができることです。
種があれば来年度の種まきにも使えますし、早めに採取できれば秋まきに使える可能性もあります。
安全サイドで考えれば翌年の種まきに使うのがベターですが、アブラナ科の種は休眠期間が長くはないようなので秋まきに使える可能性があるのはうれしいところ。
ということで今回は小松菜・チンゲンサイのとう立ちと自家採取(種取り)方法について紹介します。
アブラナ科は春になるととう立ちしやすい
とう立ちの条件には下記が挙げられます。
- 種子春化:種蒔き後に一定期間低温にさらされる
- 緑植物春化型:ある程度の大きさに育ってから一定期間低温にさらされる
- 高温条件:気温が上がる
- 長日条件:日が長くなる
- 短日条件:日が短くなる
- 一定の大きさに育つ:一定の大きさに育つと実をつける
とう立ち条件だけでも6種類もあるのですごくややこしく感じますが、短日条件=日が短くなっていく条件だけが夏から秋に向けて季節が変化するタイミングでのとう立ちとなります。
こうやって見てみるとほとんどの野菜が春~夏にとう立ち=花を咲かせて種を残すサイクルを繰り返していることがわかりますね。
小松菜やチンゲンサイは種子春化にカテゴライズされているので、秋~冬まきの場合はほぼ確実にとう立ちすると考えて良さそうです。
逆に考えると、種取したいなら秋~冬まきすればOKということ。
緑色物春化型の野菜で自家採取しようとするとうまくいかないこともありそうです。
小松菜・チンゲンサイがとう立ちすると茎が伸びて背が高くなる
とう立ち前の小松菜は葉は立った形になっています。
しかし、とう立ちが始まると葉が広がり始め、茎が伸び始めます。
葉も見るからに固くなっているように見えるので「あれ?なんか雰囲気変わった?」と感じたらとう立ちがはじまったサインと考えてください。
とう立ちが始まると葉が固くなるので食味は落ちます。
種取りをしない方は早いうちに収穫して食べてしまうのがおすすめです。
チンゲンサイも同じです。
チンゲンサイは株元がまるっとしていて見た目に可愛い野菜ですが、とう立ちしてくるとこんな感じに茎が長くなってきて、元の姿とはかなり変わってしまいます。
チンゲンサイの方が葉の変化は少ないように見えるので、小松菜よりはとう立ちしてもおいしいのかな?
小松菜・チンゲンサイの花は菜の花と同じ
小松菜・チンゲンサイの花はアブラナ科の花とまったく同じです。
春先に堤防なんかでたくさんの黄色い花が咲いていますが、あれがまさしくアブラナ科の花=菜の花になります。
菜の花は食べるとおいしいそうですので、とう立ちしてしまったら菜の花を食べるのを目標に切り替えるのもアリです。
我が家は種取り優先ですので、食べたい気持ちをグッと抑えて花が咲き、種をつけるのを待ちます。
畑にはアブラナ科のなにかの花も準備中
小松菜・チンゲンサイのとう立ちを眺めていると、同じアブラナ科のなにかがとう立ちしているのも見かけました。
この位置にはチンゲンサイが植わっていたはずなんですが、なんか見た目が違うんですよね。
チンゲンサイはとう立ちしても見た目はチンゲンサイの葉のままなのに対して、この株はやけに葉脈が目立ちます。
でもですね、上の写真の奥に見えているのはほうれん草とチンゲンサイなんです。
こぼれ種がここに落ちて育っていたのを見た気がするんですが…この株はなんなんでしょうかね?
とりあえず様子見です。
アブラナ科は交雑しやすいので種取りには注意が必要
アブラナ科の野菜は自家不飽和性ですので、他科受粉して種を作ります。
簡単にいうと、自分の花粉では種ができないということ。
このため、アブラナ科の中で交雑しやすい特徴があります。
- アブラナ科アブラナ属(染色体数9):キャベツ / ブロッコリーなど
- アブラナ科アブラナ属(染色体数10):白菜 / 小松菜 / チンゲンサイ / 水菜など
- アブラナ科アブラナ属(染色体数18):カラシナ(高菜など)
- アブラナ科ダイコン属(染色体数18):大根
アブラナ科の中にはアブラナ属やダイコン属がありますが、すべてのアブラナ科の野菜で交雑が起こるわけではありません。
- 属が違うと交雑しにくい
- 染色体数が違うと交雑しにくい
この法則を覚えておくとアブラナ科の自家採取をおこなう上で想定していなかった交雑が起こることは少なくなるはずです。
逆に言えば、同じ属で染色体数も同じなら普通に交雑が起こるということ。
葉物野菜なんてほとんどがアブラナ科なんだから、種取りしようとすると交雑のオンパレードになりそうですね。
他科受粉で種を作ることも考慮し、交雑をできる限り防ぎつつ種取りするなら1種類のアブラナ科に絞っておこなうようにしましょう。
小松菜は順調に開花
つぼみの状態だったとう立ちした小松菜ですが、記事をまとめている数日間の間に背丈はさらに高くなり、開花してしまいました。
上の写真からさらに数日経過したら脇芽も開花していたので、1株からでもそれなりの数の種を採れそうな感じです。
ただ、うちの畑は小松菜のほかにチンゲンサイ、白菜、水菜が開花しています。
属も同じで染色体数も同じ…つまり、というかきっと交雑しているでしょうね。
まぁ、今年は自家採取して種集めすることが目的だったので致し方なし、と思っている部分もあります。
次の世代でヘンテコな野菜にならなければ問題なしとしましょう。(笑)
あとは種が充実するまで眺めておけば種取りは完了です。
一面が菜の花畑に…種が入りはじめました
もうすぐ4月を迎えますが、我が家の畑は一面菜の花が満開となっています。
交雑云々いっていましたが、
- 手前:小松菜
- 真ん中左:白菜
- 後ろ:チンゲンサイ
といった具合にアブラナ科で咲き乱れているので確実に交雑しているでしょう。
小松菜とチンゲンサイはそんなに影響ない気がしますが、白菜と交雑しちゃった場合はどうなるんでしょうね?
結球しなくなると完全に別の野菜になってしまいそうです…
一部は花も落ちて種が入り始めています。
1株からどれくらいの種が取れるのかわかりませんでしたが、この感じだとかなり大量の種が取れることになりそうです。
交雑もそうですが、種取して保管するときにも間違えないようにしないといけませんね。
ちょっとずつ種のサイズが違うからなんとなくはわかりますけども。
小松菜は花が落ち、サヤに実が入り始めました
菜の花満開だった畑も葉桜ならぬ葉菜の花な感じになってきました。
よく見てみるとサヤに実が入ってきています。
小松菜の種はそこそこのサイズで、膨らみ始めたサヤを見ていても水菜よりも大きく、白菜よりも小さいことがわかります。
そしてですね、サヤが膨らみ始めてようやくボリューム感に気づいたわけですが、これはとんでもない量の種が取れてしまいそうです。
一枝?という表現でいいのかわかりませんが、だいたい70~80個くらいは取れそうな感じです。
そういう目で改めてこちらをごらんください。
いったいどれだけの種が取れるのでしょうか…
すでにサヤが膨らみ始めているのでこのまま種をとりますが、やばいことになりそうです。
少なくとも種は2~3年は使えるようですが、2~3年で使い切れる量じゃないですよね…
サヤがカラカラに乾燥したら種取りする
サヤに実が入ってしばらくするとサヤがカラカラに乾燥してきます。
サヤの乾燥は下側から先端に向かって進むようで、全部のサヤがカラカラに乾燥するまではもう少しかかりそうです。
ただ、次の野菜も待っているのでいつまでも成らせておくわけにはいきません。
ということで、早速乾燥したサヤから種取りしていきます。
株ごと引っこ抜いてもいいのですが、サヤの部分だけカットしてもってきました。
乾燥したサヤは軽く触るだけでもカラカラと音を立てるので簡単にわかります。
乾燥しきっていないサヤからも黒い種が出てくるので種としては十分成熟しているように見えますね。
あとはサヤを手に取り、潰すように押すだけでパカッと簡単にサヤが開きます。
種は1株分だけでも十分すぎるくらい収穫できる
1株分でどれくらいの種が取れるのか試してみたところ、写真のような量が取れました。
ちなみに、半分くらいは乾燥しきっていない種だったので破棄しました。
つまり、1株の半分でもこれだけ大量の種が取れたということ。
1シーズン分としては十分な量に見えますし、しっかりと1株丸々乾燥させて種取りすれば2~3シーズン分の種が取れそうな勢いです。
この畑からいったいどれほどの種が取れるのでしょうか…種取りだけでも途方もない…
ということで、ある程度の種が取れたらあとは申し訳ないですが畑の隅に破棄していきます。
畑の隅がこぼれ種でとんでもないことになりそうですが、そっとしておきます。(笑)
小松菜・チンゲンサイは交雑に気を付けながら種取りしよう
今回は小松菜・チンゲンサイの種取り(自家採取)の方法について紹介しました。
方法っていうか、小松菜もチンゲンサイも畑にほっておいて春を迎えれば勝手にとう立ちして、勝手に花を咲かせて種を付けます。
種取り自体はとても簡単ですが、アブラナ科の野菜は簡単に交雑してしまうことは要注意です。
自家不飽和性=他科受粉なのでミツバチなどの昆虫を媒介として受粉するため、同じ畑の中で他のアブラナ科の野菜が開花していたら大ピンチです。
うちの畑は小松菜・チンゲンサイ・白菜・水菜がとう立ちしているので完全に交雑しているでしょう。
次の世代は中途半端な性質の野菜ができるかもしれませんが、それも自家採取して育てる上での醍醐味になります。
みなさんもぜひ試してみてください。
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