夫婦共働きの場合、子供が生まれると配偶者は産休・育休を取得します。
産休・育休中は手当金をもらうことができるので経済的にはかなり助かりますが、この手当金は非課税になります。
産休は産前6週・産後8週の計14週間、育休は6ヶ月間~最長2年間まで取得が可能となります。
つまり、最短でも9ヶ月ほどは給与収入のない状態になることになります。
これだけの期間、課税対象である給与収入がなければ税法上の扶養に入ることが可能になるかもしれませんね。
ということで今回は産休・育休中に扶養家族に入ることができるかどうかを確認する方法について紹介します。
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産休・育休中にもらうことができる給付金
産休・育休中にもらうことができる給付金は以下の3種類があります。
- 出産手当金:標準報酬額(基本給)のおよそ66.7%を支給,最大で産前42日・産後56日分
- 出産一時金:1児につき42万円の給付
- 育児休業給付金:育休~180日までは標準報酬額の66.7%、181日~2年までは50%を支給
出産一時金は出産にかかる分娩費用等への給付金、出産手当金・育児休業給付金は非就業期間の生活を保障することを目的としています。
①~③の給付金はいずれも非課税となるため、収入としてはカウントされません。
子供が1歳になるまで育休取得したとすれば丸1年間は給与収入がない状態になるので税制上の扶養に入ることができる可能性が高くなります。
税制上の扶養と社会保険上の扶養の違い
扶養に入れることができるかどうかの目安として年間収入が103万円を超えるかどうかで覚えている方が多いと思います。
この扶養には、
- 税制上の扶養
- 社会保険上の扶養
の2種類が存在します。
税制上の扶養は収入面で扶養の対象となるかどうかであり、先ほど述べました年間収入が103万円を超えるかどうかというのがポイントとなっており、どこで働いているかではなく収入がいくらあるかで決まります。
会社に勤めていたり、アルバイトをしていたりしても年間収入が103万円を超えなければ税制上の扶養に含めることが可能となります。
ここは大事なポイントですので覚えておきましょう!
次に社会保険上の扶養は会社に勤めている場合に社会保険に加入しているかどうかがポイントになります。
社会保険上の扶養は年間収入が130万円以内であれば夫の勤め先の社会保険に加入することは可能ですが、産休・育休中は社会保険料の支払いが免除されるので妻の勤め先の社会保険を抜けてまで夫の社会保険に入りなおすメリットがありません。
妻が勤め先で社会保険に加入している場合は社会保険上の扶養については変更する必要がないと覚えておきましょう。
育休中は税制上の扶養に入ることが可能
税制上の扶養と社会保険上の扶養の違いについてはここまでで理解していただけたと思います。
出産手当金・育児休業給付金については非課税=収入としてはカウントされないので出産時期によっては年間収入が103万円を越えないこともあり得ます。
育休は子供が満1歳になるまでは取得することが可能で、保育園への入園が困難であるケースなどでは育休期間を延長することができるので、最低でも1年間は給付金のみとなると考えてください。
標準報酬金額(基本給)が20万円だと仮定した場合、
標準報酬金額(基本給)が20万円と仮定した場合の 年間収入見込み額と税制上の扶養対象有無 |
|||
出産時期 | 年間就労期間 | 年間給与収入 | 税制上の扶養 |
1月 | 0ヶ月 | 0円 | 〇 |
2月 | 1ヶ月 | 20万円 | 〇 |
3月 | 2ヶ月 | 40万円 | 〇 |
4月 | 3ヶ月 | 60万円 | 〇 |
5月 | 4ヶ月 | 80万円 | 〇 |
6月 | 5ヶ月 | 100万円 | 〇 |
7月 | 6ヶ月 | 120万円 | ● |
8月 | 7ヶ月 | 140万円 | ● |
9月 | 8ヶ月 | 160万円 | ● |
10月 | 9ヶ月 | 180万円 | ● |
11月 | 10ヶ月 | 200万円 | × |
12月 | 11ヶ月 | 220万円 | × |
7月以降に産休に入る場合を除いて年間収入が103万円を超えないため、夫の税制上の扶養に入ることができます。
税制上の扶養に入ることで配偶者控除(〇の範囲)もしくは配偶者特別控除(●の範囲)が適用されるため、思っていた以上に節税効果が得られることになります。
税制上の扶養に入ることでどれくらい節税できるの?
税制上の扶養に入ることで、
- 配偶者控除:年収103万円以下→控除額13万円~38万円
- 配偶者特別控除:年収201万円未満→控除額1万~38万円
のいずれかを受けることができます。
配偶者控除も配偶者特別控除も納税者本人、ここでいうと夫の収入に応じて控除額が変動します。
夫の所得が900万円以下であれば38万円の控除が得られると覚えておくと簡単です。
所得は給与収入から給与控除などを引いたもののことを意味します。
所得が900万円ということは年収は1,000万円を超えているので、
ほとんどの方の配偶者控除/配偶者特別控除額は38万円になります。
所得と控除額の関係については他のサイトさんで
詳しくまとめてもらっているので割愛しますね。
配偶者特別控除は年収103万円を超える方、つまり所得が48万円を超える方が対象となります。
年収150万円までは満額の控除額が得られますが、年収150万年を超えると所得が5万円増えるごとに控除額が5万円減額されていきます。
年収が201万円以上になると配偶者特別控除はゼロ円になってしまいます。
年収が200万円に近づくほど配偶者特別控除の恩恵は減っていくことになりますね。
所得税率10%の場合、最大38,000円の節税効果に
所得の計算は配偶者控除/配偶者特別控除の控除額だけではなく、基礎控除や給与所得控除・社会保険料控除などの合算で決まります。
所得税率20%が適用されるにはかなり年収の高い方になるので、ここでは所得税率10%と仮定して計算してみます。
- (配偶者控除/配偶者特別控除)38万円×(所得税率)10%=節税額38,000円
計算式は少々乱暴ですがこれがわかりやすいはずです。
配偶者控除/配偶者特別控除で控除される金額は所得税率が適用される所得そのものを減らすことになります。
所得が減る=減った所得の分だけ適用されるはずだった所得税が減る=控除額×所得税率が節税額になるということです。
所得税率10%で配偶者控除/配偶者特別控除が38万円適用される場合は38,000円の節税効果になります。
税制上の扶養に加える手間とこれだけの節税効果を考えれば、節税効果の方がはるかに大きいですね!
産休・育休中の年間収入を計算して税制上の扶養に入れるか検討しましょう
今回は産休・育休中に扶養家族に入れるのかどうかを確認してみました。
産休・育休中には各種手当がもらえますが、手当は非課税ですので産休前に働いた分の給料もしくは育休明けに働いた分の給料が103万円以下であれば税制上の扶養に入ることが可能ですので配偶者控除を受けることができます。
103万円を超えてしまっても201万円未満の年収であれば配偶者特別控除を受けることが可能です。
仮に配偶者控除額が38万円で所得税率が10%であれば38,000円の節税になるのでかなりお得ですね!
子供が産まれるとなにかと出費がかさむことになるので少しでもお金はセーブしておきたいですよね。
産休・育休中に税制上の扶養に入れることは意外と盲点だと思います。
これから産休・育休に入る方はどれくらいの年収になりそうかを計算して扶養家族に入ることを検討してみましょう。
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