外構や地盤改良は住宅ローン控除の”マイホームの取得等の対価の額”の範囲に含まれるのか?

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外構や地盤改良は住宅ローン控除の_マイホームの取得等の対価の額_の範囲に含まれるのか?

確定申告の時期がやってきましたね。

戸建てやマンションを購入された方はどうしても避けて通ることができないのが引き渡し後1年目の確定申告です。

ふるさと納税などもワンストップ制度を利用すれば確定申告しなくて済むため、何気に確定申告をしたことがない方も多いんじゃないでしょうか?

私は持病の都合上、医療費が膨れやすくなっているため毎年確定申告をしていますが、住宅ローン控除については思った以上にわからない部分が多くて困っています。

ということは、はじめて確定申告をされる方にとっては超難関ともいえるハードルの高さになっているかと思います。(いや、私がアホなだけかもしれません)

特に住宅ローン控除には建物以外の費用をどこまで含めることができるのかが不透明。

建物以外にも外構費用や地盤改良費用などいろいろな費用がかかっているので、住宅ローン控除に含めることができるものはすべて含めたいのが本音ですよね。

そこで今回は外構や地盤改良の費用を”マイホームの取得等の対価の額”として住宅ローン控除に含めることができるのかどうかを確認していきます。

 

 

住宅ローン控除についておさらい

住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得又は増改築等(以下「取得等」といいます。)をし、令和3年12月31日までに自己の居住の用に供した場合で一定の要件を満たすときにおいて、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除するものです。

国税庁 > 住宅借入金等特別控除

まずはじめに、住宅ローン控除についてサクッとおさらいしておきます。

住宅ローン控除の正式名称は住宅借入金等特別控除といいます。

「居住の用に供した」など、見慣れない日本語があって難しく感じますが、住宅ローンの残高に一定率を掛けた金額を居住の用に供した=入居した年から数年の間、所得税から控除するという制度です。

現行の制度でいくと、

  • 上限40万円までの住宅ローンの年度末残高×1%を所得税控除する
  • 期間は10年間
  • 消費税増税後の特例として控除期間を13年延長

となっています。

長期優良住宅を取得している場合は控除上限が50万円に引き上げられるメリットがあります。

消費税が8%から10%に増税されたことを理由とする住宅の取得控えを防ぐために、特例として住宅ローン控除の期間が13年に延長されています。

増税のタイミングでコロナ禍にも見舞われたため、期間を1年間延長して2022年内に入居された方までが特例措置の対象となります。

もっと簡単に表現するなら「住宅ローン控除を利用すれば最大40万円返金します」といった感じですね。

この住宅ローン控除があるおかげでローン金利の相殺ができる非常にうれしい制度です。

住宅ローン控除の適用条件

  1. 新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
  2. この特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下であること。
  3. 新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。
  4. 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築又は取得のための一定の借入金又は債務(住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含みます。)があること。
  5. 新築又は取得した家屋をその居住の用に供した個人が次の期間において、その新築又は取得をした家屋及びその敷地の用に供している土地等以外の資産(それまでに住んでいた家屋など)について、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例など(租税特別措置法31条の3第1項、35条1項(同条3項の規定により適用する場合を除きます。)、36条の2、36条の5若しくは37条の5又は旧租税特別措置法37条の9の2)の適用を受けていないこと。

国税庁 > No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

住宅ローンの適用条件は上記となります。

ポイントとしては、

  • 年収が3,000万円以内
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上
  • 床面積50m2以上で1/2以上を住宅用として利用していること

が挙げられます。

返済期間はともかく、年収に制限があるので高所得者の方は恩恵を受けることができないのですが、たとえば住宅ローン控除期間10年のうち1年間だけ3,000万円以上稼いでしまった場合は3,000万円をこえた1年だけ住宅ローン控除を受けることができません。

年収に関する制約は1年ごとに判定されるということは覚えておきましょう。

外構や地盤改良の費用は住宅ローン控除に含めることができるのか?

疑問を抱える女性

前置きが長くなってしまいましたが、外構や地盤改良にかかった費用は住宅ローン控除に含めることができるのでしょうか?

住宅ローン控除は「住宅」という文字からもわかるように、原則的に住宅の取得にかかる費用についてのみ控除の対象となります。

たとえば土地を先に購入してあとから住宅を建築する場合、土地の購入後2年以内に建築を完成させなければ住宅ローン控除の対象にはなりません。

これは1つのポイントで、住宅の購入により必要となった費用については住宅ローン控除に含めることが可能となるケースがあるということになります。

たとえば土地の購入が住宅ローン控除の対象になる理由は家を建てるために土地が必要だから購入したからですね。

さて、では外構や地盤改良についてはどうなんでしょうか?

地盤改良費は住宅ローン控除に含まれる

41-25 「敷地の取得対価の額」には、次に掲げる金額を含むものとする。(平11課所4-11、課法8-8、課評2-10追加、平15課個2-7、課審3-7、平19課個2-13、課資3-3、課法9-7、課審4-28、平21課個2-12、課資3-3、課審4-27、平25課個2-18、課審5-34改正)

(1) 埋立て、土盛り、地ならし、切土、防壁工事その他の土地の造成又は改良のために要した費用の額
(2) 土地等と一括して建物等を取得した場合における当該建物等の取壊し費用の額(発生資材がある場合には、その発生資材の価額を控除した残額。ただし、土地等の取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手するなど、その取得が当初からその建物等を取り壊して家屋を新築することが明らかであると認められる場合に限る。)
(注) 当該取壊し前に当該建物等を居住の用に供して措置法第41条第1項、第6項又は第10項の規定の適用を受けている場合には、当該家屋の新築に係る同条第1項、第6項又は第10項の規定の適用において、当該土地等の取得は敷地の取得に該当しないことに留意する。

国税庁 > 租税特別措置法関係通達41-25

租税特別措置法関係通達41-25によると地盤改良費は住宅ローン控除に含まれると解釈できます。

他にも埋め立て・土盛り・地ならし・切土など一見外構工事に含まれてしまいそうなものまで住宅ローン控除に含めることができます。

注意点としては、ハウスメーカーの資金計画書などの内訳には外構工事費としてひとくくりにされているケースがあること。

我が家の場合がまさにそのケースでした。

住宅ローン控除の確定申告なんて誰だって初心者なので、資金計画書であっても外構工事費に含まれている場合は「住宅ローン控除には含められないのかな?」と感じてしまいます。

簡略してまとめたいのはわかるのですが、やはりあとで見返す資料としては不適切かな、と感じてしまいます。

まぁ、ハウスメーカーの営業さんだって住宅ローン控除の確定申告なんて1回やったことがあるだけの方ばかりでしょうし、そんなところまでは配慮できないんでしょうかね?

<結論>
地盤改良費は住宅ローン控除に含むことができる。

外構工事費も住宅ローン控除に含めることができる

41-26 門、塀等の構築物、電気器具、家具セット等の器具、備品又は車庫等の建物(以下この項において「構築物等」という。)を家屋又は敷地の取得がある場合の当該敷地と併せて同一の者から取得等をしている場合で、当該構築物等の取得等の対価の額がきん少と認められるときは、41-24及び41-25にかかわらず、当該構築物等の取得等の対価の額を家屋の取得対価の額、家屋等の取得対価の額又は敷地の取得対価の額に含めて差し支えない。(昭61直所3-18、直法6-11、直資3-6追加、昭63直所3-21、直法6-11、平3課所4-8、平11課所4-11、課法8-8、課評2-10、平15課個2-7、課審3-7改正)

国税庁 > 租税特別措置法関係通達41-26

租税特別措置法関係通達41-26によると、なんとなく外構工事費も住宅ローン控除に含めることができそうなニュアンスで記載されています。

  • 当該敷地と合わせて同一の者から取得等をしている場合
  • 当該構造物等の取得等の対価の額がきん少と認められる

これらの条件を満たすことで外構工事費も取得対価の額に含める、つまり住宅ローン控除に含めることができます。

きん少=非常に少ないという意味ですが、いろいろ調べていると家屋費用の10%くらいまでは認めてもらえているようです。

これも地域・担当者によって大きくばらつきそうなのであくまでも目安と考えてください。

ただし、外構工事を住宅ローン控除に含めるには同一の者=同一の業者に依頼していることが条件なので、外交計画を練る段階で住宅ローン控除の影響まで考えておいた方がよいでしょう。

<結論>
家屋等取得対価に比べてわずかな場合は外構工事費も住宅ローン控除に含むことができる。

外構工事費200万円を住宅ローン控除に含めた場合の控除額

参考として外構工事費200万円を住宅ローン控除に含めることができた場合の控除額を計算してみます。

控除期間は令和3年までの特例ではなく、通常通りの10年で計算します。

この場合の前提条件はこのようになります。

  • 年末残高×1%を控除として仮定
  • 返済は200万円をフルローンで均等割り(1/420)で計算

そんなにややこしい計算ではないのでわかりやすいと思います。

外構工事費200万円を住宅ローン控除に含めた場合の控除額合計
年度末残高 住宅ローン控除額
 1年目 1,942,857 円 19,429 円
 2年目 1,885,714 円 18,857 円
 3年目 1,828,571 円 18,286 円
4年目 1,771,429 円 17,714 円
5年目 1,714,286 円 17,143 円
6年目 1,657,143 円 16,571 円
7年目 1,600,000 円 16,000 円
8年目 1,542,857 円 15,429 円
9年目 1,485,714 円 14,857 円
10年目 1,428,571 円 14,286 円
合計 168,571 円

返済ペースがもっと早い場合は合計控除額は少なくなるので、最大168,571円の控除を受けることが可能と考えてください。

控除期間10年間で200万円のうちの8.4%が戻ってくることになります。

単年計算は1%ですが、普通預金が金利1%の銀行なんて存在しないことを考えると住宅ローン控除は偉大です。

わずかな金額でも可能な限り住宅ローン控除に含めることができると家計にやさしくなりますね。

外構工事費や地盤改良費は住宅ローンに含めることもできます

今回は外構工事費や地盤改良費を住宅ローン控除に含めることができるのかどうかを検討しました。

結論として、

  • 外構工事費:同一業者への依頼に限り、家屋等取得対価に比べてわずかな場合は住宅ローン控除に含むことが可能
  • 地盤改良費:住宅ローン控除に含めることが可能

ということがわかりました。

地盤改良費はあきらかに住宅ローン控除に含めることが可能ですが、外構工事費については同一業者への依頼に限るという制約があります。

あとは、契約書上で明確に「外構工事費」と記載されている場合はNGのケースもあるようです。

外構工事費を住宅ローン控除に含めることができる理由は「総額のうちのいくらまでが外構費用なのか不明確であるため」なので、明確となった場合は除外されてしまうこともあるんですね。

 

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