アブラナ科は交雑しやすく、種取りして育ててみると親株=元の野菜とは違う野菜に成長することが多い野菜です。
個人で種取りするにはちょっとハードルが高いですが、ハクサイのような結球するタイプ、水菜のように葉物でも特徴的なものを除けば食べられないことはない野菜にはなってくれます。
チンゲンサイや小松菜なんかは種取りしても問題なく育てることができます。
そんなアブラナ科の中でも交雑しにくいといわれているのが大根ですが、上の写真の通り大根同士ではしっかりと交雑してしまうことがわかりました。
ということで今回ははつか大根と大根を同時に栽培・種取りした場合の交雑結果について紹介します。
【解説】実際に栽培してみてわかった自家採取した方がいい野菜としない方がいい野菜
大根はアブラナ科ダイコン属なのでアブラナ属の野菜とは交雑しない
いきなりややこしい話をしていますが、交雑するかしないかの考え方をハッキリとさせておきます。
秋野菜のメインはアブラナ科ですが、アブラナ科の中にも種類があります。
- アブラナ科アブラナ属(染色体数:9):キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー
- アブラナ科アブラナ属(染色体数:10):白菜、小松菜、チンゲンサイ、水菜
- アブラナ科アブラナ属(染色体数:18):高菜
- アブラナ科ダイコン属(染色体数:9):大根
アブラナ科アブラナ属も3種類ほどありますが、染色体の数が違うので属を超えて交雑することはありません。
同じ染色体数でも属が違えば交雑しないのでキャベツと大根を同時に種取りしてもキャベ大根みたいなことにはなりません。
アブラナ科で交雑しやすいから種取りしない方がいいといわれているメインの野菜は赤字で書いた染色体数:10の白菜や小松菜、チンゲンサイ、水菜のことになります。
私も実際に種取りしましたが白菜は大きく成長はしましたが結球してくれませんでしたし、水菜は水菜っぽさは残すものの大株のなにか違う野菜になっていました。
チンゲンサイと小松菜は混ざってしまってチンゲンサイの丸っこい形は残していないものの、大きな小松菜が取れるようになりました。
チンゲンサイや小松菜は結球するわけではないので特徴が大きく変わることなく、種取りしても問題なく食べられますね。
余談がばかりになってしまいましたが、大根はアブラナ科ダイコン属なので同じダイコン属としか交雑しないため、大根ではない新しい野菜になるリスクは低いです。
青首大根とはつか大根は同じダイコン属なので交雑する
こちらは今年の春に種取りした大根の種です。
はつか大根も同じ時期に花が咲き、実をつけていましたが種取り用に収穫してからしばらくほったらかしにしていたので青首大根とはつか大根の種がどれがどれだかわからなくなってしまいました。
つまり、この大根の種は青首大根とはつか大根の種が混ざっている可能性が非常に高いです。
はつか大根と青首大根じゃ食べ方も違うので、青首大根のつもりで種まきしてはつか大根ができても「こっちじゃない」感が強いですよね…
実際に種まきしてみるとはつか大根とは違う赤い大根ができていた
こちらが春先に取れた大根の種から育てた大根です。
ここだけ見ればはつか大根のように見えますが、形は丸くなさそうです。
昨年はこんな色の大根を育ててはいないので完全に交雑大根ですね。
同じ種から育てた大根ですが、こちらはパッと見でわかるくらいにはつか大根の見た目をしています。
はつか大根の種取りもしたので、種が混ざっていたとするならはつか大根ができてもOKなのでこちらの種は交雑していない or はつか大根の性質が残った交雑大根になります。
間引き菜を比べてみると交雑した大根とはつか大根が育っていた
自家採取した大根を種まきした個所はだいぶ込み合ってきたので間引いてスッキリさせたのですが、こちらがその間引き菜です。
1番左ははつか大根ですね。いい感じのサイズに育っています。
右の3つは赤い色をした大根のように見えます。
昨年育てていたのはこの青首大根です。種を購入して育てたのでF1種だったように覚えていますが、見た目も完全に大根そのもので赤みがかってはいませんね。
この大根から取れた種をまいて成長してきた大根が上の写真のものなので、はつか大根と交雑して赤身がかった特徴を引き継いで、大根のように長く成長する特徴も持っているように見えます。
間引き菜の段階なので最終的にどんなサイズまで成長するのかはわかりませんが、間引き菜の時点でも根は長く伸びているのでこのまま大根サイズに成長してくれそうな気がしますね。
種まきしたのが8月末だったので収穫時期は11月~12月頃になります。
見た目は明らかに交雑していますが、どんな感じに育つのかとても楽しみですね。
大根はダイコン属で交雑しますが、ちゃんと大根ができます
今回はアブラナ科の中でも交雑しにくいといわれる大根から自家採取した種を使って栽培した結果を紹介しました。
青首大根とはつか大根が同じ時期に花をつけていたので、交雑しにくい大根であっても同じダイコン属の花が近くで咲いていたため、自家採取した種からははつか大根の赤みを受け継いだ大根が生長していました。
種取りした親株は青首大根とはつか大根だけでしたので、自家採取した大根の種は交雑していたと考えられます。
それでも同じ根が肥大する特徴を持つ大根同士の交雑なので、交雑した種からでも大根を収穫することはできました。
アブラナ科は交雑しやすいですが、大根は種取りしても問題なく大根に育つことがわかりました。
自家採取は手間がかかりますが、こういった面白い特徴を持った新しい野菜に出会うことができるのも醍醐味になります。
みなさんもぜひ、大根の種取りを試してみてください。
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