種が発芽しない!大葉の野生化から考える種の発芽条件

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ハクサイの種まき

秋・冬野菜の種まきシーズンが終わろうとしていますが、なかなか高菜の苗が発芽せずに困っています。

高菜はアブラナ科の野菜なので比較的発芽させるのが簡単な野菜ですが、今年は2回目の種まきをしてもまだ発芽が揃っていません。

そんな中でもはや毎年勝手に生えてきて野良化してしまっている大葉のことを考えると、種まき時期が来ているから種まきしているのに発芽しない高菜と、秋ごろになると種が落ちてしまって5~6月頃まで雨ざらしになっている大葉の種が自然に発芽して畑にはびこってしまうこの差が謎です。

そこで今回は大葉の野良化を参考に種が発芽しない条件について考えていきます。

 

自然界の種は季節が終わると落ちて、次の発芽適期を待っている

大根の種

野菜に限らず、自然界の草花は季節が来ると発芽して花をつけ、種を実らして枯れていきます。

1年草のおおまかなサイクルはこのような形です。

家庭菜園で栽培するような野菜はほとんどが1年草で、ピーマンなんかは多年草なんですが日本の気候だと冬の気温に耐えられないので枯れてしまいます。

 

というわけで、だいぶ大雑把ではありますが1年間のサイクルで発芽~種を実らせるを繰り返しています。

私はよく種取りをして翌年用の種を確保しておきますが、自然界においては種を安全な環境で保存してくれる人はいないので時期が来て草花が枯れ落ちたら地面に落ちて、そのまま次の発芽シーズンをまつことになります。

この次の発芽待ちをしている間を休眠状態といいます。

種まき時期が来ているのに種まきしても発芽しない原因

冒頭でもふれたように、今年は高菜の苗が発芽せずに苦労しています。

高菜の種まき時期は8~9月頃ですので、この記事を書いている9月下旬は種まき時期も終わりに差し掛かているということになります。

高菜は結球性の野菜ではないので10月に入ってから種まきしても収穫にこぎつけることはできますが、冬の間はほとんど変化がなく気温が高くなりはじめる春先から大きく成長します。

なんとなくですが、畝を占有しているだけのようでもったいない気分になるので年内収穫できるのを目安に種まきしていく方が私好みです。(毎年成長は遅れるので私好みの時期に収穫できたことはありませんが…)

 

余談が長くなってしまいましたが、種まき時期が来ているということは種の休眠は終わっています。

ましてや今年は種を使い果たしてしまって第2弾の種まきは新しい種で行いました。

なのにうまく発芽してくれないのはなんでだろう?ということで考察していきます。

種が発芽しない理由①:水分が足りていない

水やり

種は発芽するために水を吸収する必要があります。

たとえば連日ひたひたになるくらいに水やりをした場合、種は息ができなくて発芽できなくなります。

「種が息?」と感じるかもしれませんが、水耕栽培するときに泡のブクブクをいれたりするのは根が息をするためです。

泡ブクブクなしで栽培する場合は、すべての根を水の中に浸けるのではなく、根の下の方だけつけるようにして水を吸い上げる部分と呼吸をする部分を作ってあげる必要があります。

これをあまり考えずに毎日ヒタヒタにして水に浸けていると根腐れしてしまいます。

根腐れと同じ現象が種の段階でも起こるということを覚えておきましょう。

 

逆に水が少なすぎると発芽するのに必要な量の水分を吸収することができないので発芽できなくなってしまいます。

 

発芽に必要な水分の量というのは種の種類によっても異なりますが、種が硬いからに覆われている場合などはそもそも吸収するのに時間がかかりすぎるケースもあるため、種まき前に1晩水に浸けておくことなども発芽を揃えるためのテクニックになります。

 

発芽しにくい種の野菜

    • ホウレンソウ:種が硬い
    • 豆類:種が大きく必要な水分量が多い
    • ニンジン:初期生育が遅いので水が必要な時期が長い

種が発芽しない理由②:日照条件(光が必要/不要)が間違っている

ホウレンソウの種まきと発芽した水菜

種まきする際の種をまく深さは気にしていますか?

種の日照条件には曖昧な種もありますが、ざっと2種類があります。

  1. 好光性種子:発芽するのに日光が必要で種は浅く蒔く必要がある
  2. 嫌光性種子:発芽するのに日光は不要で種は深く蒔く必要がある

好光性種子の場合はだいたい1~2cmくらいの深さに種まきしますが、嫌光性種子の場合は4~5cmくらいの深さに種まきします。

好光性種子と嫌光性種子の見分け方はだいたい種の大きさに依存します。

  1. 種が小さい:好光性種子
  2. 種が大きい:嫌光性種子

全部が全部この条件に当てはまるわけではないと思いますので、種まきの際にはしっかりと好光性種子なのか嫌光性種子なのかは調べてから種まきをしてください。

ちなみにホウレンソウなんかは判断に困るサイズの種ですが、ホウレンソウはどっちつかずな種なので日照条件に関してはテキトーでもOKとなります。(結構レアです)

 

種が発芽しない理由③:発芽適温ではない

種の発芽には温度条件も重要なポイントになります。

今は極寒の冬だというのに夏野菜が発芽を始めてしまうと寒さで簡単に枯れてしまいますし、気候のマイルドな秋~厳しい寒さの冬場にかけて育つ野菜は気温がある程度落ち着いてくる秋ごろが発芽適温になります。

ただ、夏野菜なんかは2月頃から種まきして準備を始めていかないと成長が遅れて夏真っただ中での収穫は厳しくなります。

ホームセンターで売られている苗は温室で育てられた苗で温度管理をして春と勘違いさせて発芽させて育てたものです。

自家苗=自分で種まきして作った苗をホームセンターと同じレベルに育てようとするとめちゃくちゃ労力がかかるし時間もかかります。

その割には苗は安く売っているので手間暇考えれば苗は買った方が簡単でいいんですよね。

 

秋野菜の種まき時期で種がうまく発芽しない場合、発芽適温ではないタイミングで種まきをしている可能性があります。

最近の夏はとにかく暑く、9月になっても暑い時期が続くことを考えると秋野菜の種まきはとても難しくなってきているんじゃないですかね。

高菜の種が発芽しない理由を考察

発芽したスナップエンドウとチンゲンサイ

ということで最後にすでにまき時が終わりつつ高菜の苗がなかなか発芽しない理由について考察します。

  1. 発芽が揃わない高菜の畝は日当たりがよい
  2. ナスの陰に隠れているチンゲンサイの種は発芽が良好
  3. 水やりはしっかりとやっている
  4. いまだに30℃越えの日が続いている

もはや自分の中で出した答えに結び付けるような形で発芽しない理由をリストアップしていますが、高菜の発芽が揃わない・発芽しない理由はいまだに30℃越えの日が続いていることにあると考えました。

同じアブラナ科野菜のチンゲンサイはしっかりと発芽してくれている(そして、しっかりと虫に食われている)んですが、日陰になりやすい畝に植えているせいか、しっかりと発芽しています。

2年前に自家採取した種で、冷蔵庫で保管していたわけでもないことを考えるとかなり上出来な発芽率になっています。

 

一方、ホームセンターで購入した高菜の種は発芽しない。

しかも、九州が主な栽培地の三池高菜ですよ?

種が悪いはずもなく、水やりも毎日しっかりとやっているのに発芽しない理由はやはり気温が発芽適温ではないことが原因と考えられます。高菜の発芽で気温は25℃程度なので納得です。

仕方がないので育苗ポットに種まきして気温の上がりにくい場所で発芽させることにしましたが、毎度秋・冬野菜には苦労させられますね…

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発芽条件を意識して種まきをしよう

今回はなぜかうまく発芽してくれない高菜の種が発芽しない理由と、放っておいても季節が来たら勝手に発芽してはびこる野良化してしまった大葉を例に種が発芽しない理由を考察しました。

種が発芽するためには、

  1. 水分を適量あげる
  2. 日照条件にあった深さで種まきする
  3. 発芽適温で種まきする

の3つがポイントになります。

これのどれかが1つが崩れてしまうだけでも種は発芽しなくなりますので要注意です。

①の水やり、②の種まき深さは知っていれば問題なく対応できますが、気温に左右される③の発芽適温に関してはどうしようもありません。

本当に最近は9月になっても暑く、夏の期間がどんどん長くなってきている気がします。

WEBで調べて出てくる情報は一般的な種まき時期のものですが、その地域によってここ数年の気温状況も判断しながら種まき時期は判断した方がいいのかもしれません。

高菜の種まきについては、少なくとも暑い時期が後ろに倒れているだけなのであればまだまき遅れとはいえないことになるので、育苗ポットを活用しながら気長に栽培していくことにします。

みなさんもぜひ参考にしてみてください。

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