新築戸建てを検討する上で忘れずにやっておきたいのが太陽光発電を載せるかどうか。
太陽光発電を載せるとなるとコストがかかるので他に回したいと考えるのはアリなので、興味のない方はその時点で除外してしまってOK。
でも、住宅ローンで載せることができるタイミングでこそ考えておくべきなのが太陽光発電なんじゃないかな、と思います。
そこで、
- 太陽光発電の回収期間
- 2021年以降でも利益を出すことができるのか
- 太陽光発電のメリット・デメリット
の3本立てでお送りします。
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【前提条件】買電価格と売電価格の比較
まずは太陽光発電の回収期間から検討していきます。
上の画像は2021年1月の発電成績です。
- 積算発電量:507.5kWh
- 積算消費量:790.0kWh
- 自給率:64%
まぁ、忘れないように写真をとったから1日残ってますが誤差範囲ということにしておきます。
そして、我が家の買電価格と売電価格はこちら。
買電価格と売電価格 | ||
買電価格 [1kWh] | 売電価格 [1kWh] | |
平日昼間(夏冬) | 26.84円 | 21円
※2020年FIT制度契約 |
平日昼間(春秋) | 23.95円 | |
休日昼間(夏冬) | 21.22円 | |
休日昼間(春秋) | 17.82円 | |
夜間 | 13.21円 |
住まいは九州某県なので九州電力の電化でナイト・セレクトプランで契約しています。
夜間電力の単価が安く、昼間料金の単価は高めに設定されているプランです。
ここから、昼間に関しては休日昼間(春秋)を除いて昼間の買電価格は売電価格よりも高いことがわかります。
売電設定は、
- 全売電
- 自家消費+売電
- 自家消費+蓄電+売電
といった選択肢がありますが、2020年FIT制度で契約した我が家の場合は買電価格の方が売電価格よりも高価となるため、②自家消費+売電が1番利益の出る設定になります。
自家消費=発電した電力を売電せずに消費することですので、自家消費率も回収期間の検討に必要になりますね。
上の積算発電量/消費量だけでは参考計算もできないかもしれない、ということです。
すでにややこしいと感じる方もいるかもしれませんが、電力プランと売電価格を比べてみただけなのでもう少しお付き合いください。
発電したら売ればいい、ってだけじゃ損することもあるのね。メモメモ。
太陽光発電の回収期間
それでは、本題の太陽光発電の回収期間についての検討を進めます。
我が家の太陽光発電スペックは、
- パネル積載量:5.5kW
- 蓄電池:4.2kW
- どちらもSHARP製
となっています。
コンセプトは売電利益よりも自家消費に重点をおいた、いのちだいじにプランとなっています。
そして、コストの方がこんな感じです。
- パネル:1,550,000円
- 蓄電池: 850,000円
- 合 計:2,400,000円
合計金額が高いかどうかはハウスメーカーがどれくらい太陽光発電に力を入れているか次第な部分はあると思います。
端数切り上げで数字をならしましたが、高くもなく安くもなくくらいの価格かな、と思います。
蓄電池についてはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の補助金対象となっていますので、68万円ほどもどってくる予定です。
蓄電池については80%回収済みなので、今回はパネル代金の回収期間に絞って検討していきます。
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年間発電量を計算して売電価格にアタリをつける
パネル代金の回収期間を計算するために、まずは年間発電量を計算していきます。
年間発電量は、
- 積載パネル量
- パワーコンディショナーなどの損失係数
- パネルの設置角度
- 設置している地域の日射量
から計算することができます。
日射量についてはNEDOの日射量データベースから数値を引っ張ってくることができます。
お住まいの地域の日射量を確認してみましょう。
さっそく、年間発電量の計算をしていきます。
年間発電量(Ep)=1日当たりの平均日射量(H)×システムの容量(P)×損失係数(K)×365÷1
_
Ep[kWh/年]:年間発電量
H [kWh/m2/day]:1日当たりの平均日射量
P [kW]:システムの容量
K:損失係数 ※係数はモジュールとパワコン、配線・受講面の汚れ等の損失の積で計算
1[kW/m2]:標準状態における日射強度
求めたいのは年間発電量のEpです。
1日当たりの平均日射量はNEDOの日射量データベースから引っ張ってくるとして、残りの不明係数は損失係数Kとなります。
- モジュール SHARP NU-250AJ:15%
- パワーコンディショナー SHARP JH-55KT3:5%
- 配線、受講面の汚れ等:7% ※一般的な数値
- 損失係数K=0.75×0.95×0.97=75%
つまり、発電した電力のうちの25%は損失として消費され、残りの75%を自家消費や売電に回すことが可能となります。
モジュールとパワーコンディショナーの損失係数はメーカーホームページで検索できます。
1日当たりの平均日射量Hは4.34 [kWh/m2/day]でしたので、我が家の年間発電量は6543kWh/年と予想されます。
【ラフ計算】発電すべてを売電した場合の回収期間を計算
先ほどの年間発電量計算で1年間の予想発電量は6542kWhという結果がでました。
我が家は2020年契約のFIT制度なので売電価格は21円/kWhとなります。
つまり、
- 6543kWh/年 × 21円/kWh = 137,403円/年
となるので、年間の売電収支は137,403円となります。
あくまでも、発電した電力を全量売った場合の収支なのでラフ計算となります。
太陽光発電設備の代金(パネル代金)は1,550,000円なので、
- 1,550,000円 ÷ 137,403円 = 11.3年
となります。
11.3年で回収できる計算ですが、FIT制度の固定買取価格は契約から10年となります。
九州電力の現在のFIT制度の固定買取期間終了後の売電価格は7円/kWhなので10年以内に回収できない場合はさらに回収完了までの時間が延びることに…
21円/kWh → 7円/kWhなので買取価格としては1/3に減ることになるので、固定買取期間終了後の売電価格低下を加味しても13.9年で設備代金を回収することができそうですね。
【ラフ計算結果】
発電した電力をすべて売電した場合は13.9年で回収完了
【しっかり計算】自家消費込みの利益重視で回収期間を計算
我が家が契約している九州電力の電化でナイト・セレクトプランの場合、昼間の買電単価は約24~27円/kWhなので売電単価21円/kWhよりも高い。
つまり、昼間は発電した電力を自家消費して足りない分を買電する方がお得なんですね。
でも、肝心の自家消費率がうまく追えないんですよね。
ということで、経済産業省発表の自家消費率から引っ張ってくると、自家消費率は30%とのこと。
これらを織り込んで回収期間を計算してみると、
自家消費の年間収支と回収期間 | ||
電力量 | 収益 ※自家消費は買電単価24円×電力量で計算 | |
自家消費 | 1,963 kWh | 47,112 円 |
売電 | 4,580 kWh | 96,180 円 |
合計 | 6,543 kWh | 143,292 円 |
回収期間 | 1,550,000 円 ÷ 143,2920円 = 10.8 年 |
自家消費率30%として計算してみても回収期間は10.8年となりました。
0.8年分は売電価格7円/kWhで回収しないといけないので、
未回収代金0.8年分=117,080円の回収期間 | |
自家消費単価 | 24 円/kWh × 30% = 7.2 円/kWh |
売電単価 | 7 円/kWh × 70% = 4.9 円/kWh |
合計単価 | 12.1 円/kWh |
必要発電量 | 117,080 円 ÷ 12.1 円/kWh = 9,676 kWh |
回収期間 | 9,676 kWh ÷ 6,543 kWh = 1.48 ≒ 1.5 年 |
1次方程式とか久しぶりなので思ったより時間食ってしまいました。。
未回収代金0.8年分を自家消費+固定買取期間終了後の売電単価7円/kWhで回収する場合、約1.5年必要ということがわかりました。
これらを足せばトータルの回収期間になるので、10年+1.5年=11.5年。
自家消費込みの回収期間は約11.5年となることがわかりました。
【しっかり計算結果】
発電した電力を自家消費+売電した場合は11.5年で回収完了
しっかり計算で太陽光パネル代金の回収期間は約11.5と判明。
それ以降は合計単価12.1円で利益を生み続けるということですね!
2019年契約なら売電単価は24円/kWhだったので固定買取期間内に回収が完了していたようね。契約が遅れるとさらに回収までに時間がかかるわね…
2021年以降でも太陽光発電で利益を出すことはできるのか?
さて、ここからが本題です。(前置き長すぎ・・・)
2021年以降に太陽光発電を契約したとしても利益を出すことができるのかを考えてみます。
2021年以降のFIT買取価格は、
- 2021年:19 円/kWh
- 2022年:17 円/kWh
と発表されています。
2023年以降の買取価格は現時点では不明です。
自家消費の年間収支と回収期間 | |||
電力量 | 収支 2021年 ※売電単価19円/kWh |
収支 2022年 ※売電単価17円/kWh |
|
自家消費 | 1,963 kWh | 47,112 円 | 47,112 円 |
売電 | 4,580 kWh | 87,020 円 | 77,860 円 |
合計 | 6,543 kWh | 134,132 円 | 124,972 円 |
10年後の回収残 | – | 208,685 円 | 300,287 円 |
10年後の合計単価 | – | 12.1 円/kWh |
|
回収残の回収期間 | – | 2.6 年 | 3.8 年 |
トータル回収期間 | – | 12.6 年 | 13.8 年 |
細かい計算式は面倒なので省きましたが、2021年は12.6年、2022年は13.8年でパネル代金を回収することが可能なようです。
契約が1年遅れるごとに回収期間も1年長くなりそうな感じですね…
機器設置代金は年々安くなってはきているんですが、それよりもFIT買取価格の低下の方が効いてきそうです。
とりあえず、パネル代金の回収が完了してからは利益を生み続けるだけなので年間79,000円(12.1 kWh×6,543kWh/年)の利益となる見込みです。
パワーコンディショナーの寿命
次に考えておきたいのが太陽光発電における消耗品です。
- 太陽光パネル:20年程度で効率10%ダウンするけど壊れはしない
- パワーコンディショナー:10~15年程度で交換が必要
太陽光パネルは経年劣化で効率が10%程度ダウンすることになるようですが、回転機器でもないため消耗度合いで考えればかなりマイルドな部類に入るようです。
太陽光バリ推しの某ハウスメーカーの方は「発電しなくなることはない」と言ってましたしね。(=もちろん、そう簡単には壊れない、と理解しておきましたよ。)
実際のところ、パネルの設置が本格的に始まってからの期間がそれほど長くないため、どのような経過をたどっていくのかわからない部分が大きいようです。
20年程度のデータならあるので、効率10%ダウンというのはある程度指標にはなりそうですね。
パワーコンディショナーは電子機器なので明らかに消耗品です。
10~15年で交換が必要と考えているメーカーが多いようですが、交換費用の算出が難しいですね。
ちなみに、我が家のパワーコンディショナーはJH-55KT3でメーカー希望小売価格(税込)は¥474,100-となっています。
ここから値引きはあるにしても、工事費・その他消耗品の交換も含めたら同額程度にはなるでしょう。
10~15年後にいくら安くなっているのかも想定しにくいところですが、肌感覚ですが40万円は予算をみておきたいところですね。
パネル代金の回収が終わるとすぐにパワーコンディショナーの交換時期が来るという辛い展開になるのは避けられないようです。
引き渡し後30年として収支計算してみる
交換時期がきた頃のパワーコンディショナーの交換費用や太陽光パネルの発電効率の低下は完全に想像でしか織り込むことができないので、あくまでも想定の話として引き渡し後30年までの収支計算をしてみます。
30年という設定は、パワーコンディショナーが15年で交換したとして2回交換でどんな結果が予想されるかを見るために設定しました。
- パワーコンディショナー交換費用:40万円
- 15年/回で交換として1回分を見込む
- 固定買取期間終了後の売電単価は自家消費を見込んで12.1kWhと仮定
- 10年ごとに発電効率を10%減と仮定
という具合に初期条件を決めておきます。
30年間太陽光発電を運用した場合の収支(想定) | |||
2020年契約 21円/kWh |
2021年契約 19円/kWh |
2022年契約 17円/kWh |
|
パワーコンディショナー 交換費用(2回分) |
400,000 円 | ||
10年後の費用回収残額 | 117,080 円 | 208,685 円 | 300,287 円 |
10年後の発電量 (90%計算) |
5,889 kW/年 | ||
11~20年後までの売電額 | 712,569 円 | ||
20年後の発電量 (80%計算) |
5,234 kW/年 | ||
20~30年後までの売電額 | 633,314 円 | ||
合計収支 | +828,803 円 | +737,198 円 | +645,596 円 |
仮定条件を元に計算してみると…売電価格17円/kWhの2022年契約でも利益が見込めますね。
ただ、2021年契約で30年かけて約74万円の利益と考えるとそれほど魅力があるかといえば怪しいですね。
それでも利益率でいくと1.5%/年…銀行預金と比べればはるかに高くなります。
メリット・デメリットで天秤にかけて考える必要がありそうです。
太陽光発電・見積戸建て購入時に太陽光発電をつけるのメリット・デメリット
ここまでの検討で2021年以降に太陽光発電を契約しても利益がでそうなイメージはつかめたと思います。
ただし、30年経過してようやく約74万円の利益になるわけで、これが多いと感じられるかどうかでも判断基準は変わってきそうです。
なので、最後に太陽光発電をつけるメリット・デメリットについておさらいしておきます。
太陽光発電のメリット
- 停電・災害時の電力源として備えることができる
- 売電利益が期待できる
- 住宅ローンを利用して設置費用にかかる金利を減らすことができる
太陽光発電のデメリット
- 災害理由などで想定していた売電収入が得られない可能性がある
- 撤去費用などが不透明
- 費用対効果がわかりにくい
太陽光発電を設置する上でのメリットはもちろん太陽光を利用して自家発電できること。
これにより、停電・災害時の電力確保、そして売電利益も期待できます。
逆に、災害時に太陽光発電も被害を受けてしまって復旧費用がかさんだり、思ったような売電収入にならない可能性もデメリットとして挙げられます。
パネル自体の耐用年数はかなり長くなりそうなので撤去費用は特に不透明ですね。
これらを比較してメリットの方が大きいのか、デメリットによるリスクを排除するのかを決めましょう。
もちろん、太陽光発電は戸建て購入後に追加することもできますが、その際のローン費用の金利は住宅ローン金利と比べると2~3倍程度高くなります。
金利の面で圧倒的に有利なのは戸建て購入時にあわせて設置するケースになりますね。
太陽光発電は2021年契約でも利益が出ます
年々買取価格の下がっていっている太陽光発電。
2021年のFIT買取価格は19円/kWh、2022年は17円/kWhを予定しています。
10年間の固定買取期間内での太陽光パネル代の回収は厳しいですが、パワーコンディショナーの交換費用も見越して計算しても30年間で+60万円以上の売電収益を得ることができます。
太陽光発電で停電・災害時の電力源を確保しつつ、銀行預金よりもはるかに高い金利で資産を増やすこともできるのは大きなメリットと考えてよさそうです。
FIT買取価格は毎年下がってきていますが、その分太陽光発電にかかる設置費用も安くなってきています。
ハウスメーカーによっては太陽光発電はそれほど得意ではないケースもあるので、一度自分で見積もりを取ったりして収支計算してみるのがおすすめですよ。
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