今年から始めた家庭菜園ですが、一通りの野菜で自家採取して来年用の種を確保することができました。
オクラやトマトは昨年のプランター栽培で採取した種から育てたものなので2期目になります。
こうやって自家採取を繰り返すことで土地・気候にあった野菜に変化させていくことができるのが自家採取のメリットです。
ということで、今回は自家採取の魅力とメリット、そして今年自家採取できた夏野菜の種について紹介していきます。
夏野菜は果菜類が多いので自家採取しやすい
夏野菜の定番といえば、
- トマト
- ナス
- ピーマン
- きゅうり
といったところですが、これらの実がなる野菜のことを果菜類といいます。
どの野菜もオールシーズン食べられるので夏野菜のイメージが少なく感じる方もいるかもしれませんが、ナス科・ウリ科は夏野菜です。
トマトは赤く熟してから食べますが、ピーマン・きゅうりは未熟な果実を食べています。
ナスも種のない状態のものを食べていますので、未熟な果実を食べている方が多そうです。
これらの果菜類は完熟させるだけで実の中に発芽能力を持った種ができるので自家採取がとても簡単です。
特にトマトの場合は食べる前に種が入っているゼリー質の部分を取り出すだけで種取りできるのでとても簡単ですね。
自家採取は野菜栽培の一連のサイクルを自分でできるが魅力
夏野菜に限らず、手をかけずに野菜を育てるのであればホームセンターで売っているプロが育てた苗を購入するのが簡単です。
あとは植え付けるだけの状態まで成長させた苗が売られているんだから、極端な話あとは水さえあげていれば収穫できるんです。
もっとたくさん採りたかったり、元気に育てたいと思うのであれば肥料をあげて雑草を処理して、必要であれば摘果する・受粉するなど手をかけてあげればいいんです。
そうやって手をかけて野菜を育てることが楽しいと感じる方は種から苗を育てみたいな、と感じるようになるんじゃないかと思います。
興味本位ではじめたトマトの発芽実験から魅力にはまった
私が自家採取に興味を持つようになったのは食卓に並ぶトマトに含まれる種を発芽させることができるのか実験してみたことがきっかけです。
簡単なところからはじめたのもよかったんですが、トマトは結構簡単に発芽させることができて育てるのも難しくありません。
種から発芽させて収穫までこぎつけたことが嬉しかったですし、その過程が楽しかったですね。
ちなみに、その時収穫したトマトの種は今年の種まきで失敗してしまい全部なくなってしまいました…
これはこれで残念でしたね。
自家採取は楽しいけれど、ほとんどがF2種になってしまうデメリット
自家採取して野菜栽培の一連のサイクルを自分の手で行っていくのは楽しいです。
もちろん、「自分の手」といっても野菜自身の生命力で育つのをちょっと手助けしてあげるだけには過ぎないのですけれど。
それでも、自家採取の唯一のデメリットはF1種からの種取りになってしまうことです。
F1種は異なる親を持つ種のことで、1代限りですが雑種強勢=優性遺伝のみが現れる特徴を持ちます。
たとえば、
- 味はよくないが丈夫で収穫量の多いトマト
- 収穫量が少ないが味がよいトマト
このようなそれぞれ特徴の異なる親同士をかけあわせて作った種からは丈夫で収穫量も多くて味が良いトマトができます。
F1種は優性遺伝しか出てこないので性質も安定し、期待通り・狙い通りの野菜を育てることができます。
しかし、F2種=F1種から種取りした第2世代では親のF1種と同じ性質を持つ苗は50%しかできません。
残りは25%で丈夫で収穫量が多いだけのトマトと味は良いけど収穫量の少ないトマトになります。
性質が安定しない苗では見通しが立てづらいため農家にとってはF2種は扱いに困ることになりますね。
家庭菜園でもスペースが限られていることを考えると、できるならよい性質を持つ野菜だけを育てたいのが本音ですね。
家庭菜園だからこそF2種を育てて定着させていくこともできる
F1種の反対に位置するのが固定種と呼ばれるもので、何代にもわたってよい性質を持つ野菜を選抜して種取りして遺伝的性質をある程度固定化させたものです。
家庭菜園で自家採取していく場合、固定種を育てるのが1番性質も安定しやすくなるのでおすすめですが、F1種であっても繰り返し種取りし、性質の悪いものは除いていくことを何年も繰り返すことでご家庭の環境にあった固定種のような種にしていくことが可能です。
どれくらいの期間繰り返すことで性質が固定されるようになるのかは不明な部分がありますが、理論上はF1種でも繰り返し自家採取していくことで固定化していくことが可能です。
自家採取の過程で他の親も混ぜてしまうことがなければ、基本的にはF1種の性質に近づいていくように感じますが、どうなんでしょうかね?
自家採取を繰り返していくことで傾向が見えてきそうですね。
【実験】F1種から種取してF2種を育てるとどんな変化があるのか?
種苗法改正は家庭菜園には影響ないが意識はしておきたい
農家の方々の間で話題になっているのが種苗法改正です。
この改正により、
- 育成者が登録品種の栽培地域・輸出に制限をかけることができる
- 自家増殖に許諾が必要となる
という変更がなされています。
農林水産省が改正種苗法の概要をまとめていますのでこちらも参照ください。
改正種苗法の施工は令和3年4月からなので令和3年11月=2021年11月の時点ですでに施工されていることになります。
家庭菜園レベルになるとどんな影響があるのかきになりますが、②の自家増殖に許諾が必要というのは影響ありそうですかね?
しかし、農林水産省の種苗法改正のページには販売や譲渡をおこなわない家庭菜園は対象外と明示されています。
今回の法改正で、家庭菜園(販売、譲渡を行わない場合)での利用に影響はありますか。
今回の法改正は、自家消費を目的とする家庭菜園や趣味としての利用に影響はありません。
家庭菜園、つまり個人で栽培を楽しむ限りは自家増殖=自家採取して栽培していくことに制限はないということになります。
一安心ですね!
とはいえ、こういった農家にデメリットでしかないような改正が行われた理由については意識して栽培していく必要があるでしょう。
種苗法改正の目的は主に時間・お金をかけて開発してきた野菜や果物が海外に流出してしまい、格安で国内に輸入されてしまうことを防ぐためです。
家庭菜園に関しては改正法の対象外であっても自家採取して育てている限りは
自分が貴重な品種の流出原因になってしまう可能性もゼロではありません。
責任感をもって育てていく必要はあるでしょう。
今年自家採取できた夏野菜
さて、前置きが長くなりすぎてしまいましたが今年はたくさんの夏野菜の種を採取することができました。
ざっと見た限り17袋の種がありますが、ちょっとまとめていきます。
トマト類は大・中・小で合計3種類採取
- ホームセンターで購入したトマト太郎
- F2種のミニトマト(F1種の第2世代)
- スーパーで購入したミディアムトマト
今年採取した種は合計3種類。
トマト類は春先の種まきを失敗して出遅れてしまいましたのでホームセンターでトマト太郎を1株購入しました。
ほとんど収穫はできませんでしたが味は良かったので種の採取はしっかりしておきましたので来年は採取したトマト太郎の種を使って育ててみます。
あとはミニトマトの種も採っていますが、これは中玉トマトのつもりで育ててしまったもので、お盆時期の長雨でほとんどの実が破裂してしまい、何とか生き残った実から採取したものです。
発芽能力があるのか怪しいので今も種取り用に少し株を残しています。
中玉トマトを放任栽培(ソバージュ)した結果、手が付けられない状況になった
最後はミディアムトマトですが、こちらはうちの家庭菜園で育てたものではなくスーパーで売っていたものです。
ほど良いサイズ感が目に留まったので購入してみたところ味もよかったので種を採っておきました。
トマト太郎は大玉種ですが、大玉種は収量が少なくなりやすいのでミディアムくらいがいいかなー、と思って選んでいます。
来年もトマト祭りが開催できそうなので一安心です。
ピーマン類は辛いものから甘いものまで5種類を確保
- ピーマン
- パプリカ
- ししとう
- 朝鮮なんばんとうがらし
- ハバネロ
ピーマン類という表現は少し変で、実際のところはすべてトウガラシ属になります。
でもトウガラシ類とまとめてしまうよりもピーマンの方がイメージしやすいのでここではピーマン類ということで進めます。
食べても辛くない甘味種はピーマン、パプリカ、ししとう。
食べたら辛い辛味種は朝鮮なんばんとうがらし、ハバネロですね。
ししとうは辛い物もありますが分類でいうと甘味種になります。
暑かったり、水が少なかったりしてストレスがかかると辛くなるそうね。
ピーマンやししとうは緑色の状態で食べますが、この状態ではまだ実が成熟していませんので赤く熟すまで成らせておくことで自家採取することができます。
赤くなったピーマンは実が柔らかいので若取りしたものとはまた違った味わいがあります。
【初心者でもできる】完熟したピーマンから来年用の種を採取する方法
ナス・きゅうり・枝豆・オクラ、ついでにズッキーニも種を確保
- ナス
- きゅうり
- 枝豆
- ぺカボチャのズッキーニ
- オクラ
夏野菜の定番、ナス・きゅうり・枝豆・オクラも無事自家採取することができました。
ナス・きゅうり・オクラ・ズッキーニは果実を食べますが、枝豆は種を食べますね。
枝豆の自家採取はとても簡単で、サヤが枯れて茶色になるまで放っておけばOK。
その代わり食べる部分はゼロになるので種取り用に余分に育てておくのがおすすめです。
思ったより種の数は多く取れないので翌年どれくらい育てたいかを検討しておいた方がベターです。
ナスやきゅうり、ズッキーニも基本的には十分完熟するまで成らせておけばいいんですが、最低でも1ヶ月以上は株に成らせておくことで成熟した種を採取することができます。
きゅうりの種は見たことがある方もいると思いますが、あまりナスの種は印象にありません。
上の写真は完熟したナスから種取りした際のものですが、種の形はピーマンに近く少し小さいです。
3つとも1つの熟した果実から十分すぎる量の種が取れるのに加えてそんなに株数は多くなくても十分収穫できるので、1度自家採取すると数年は困らないと思います。
オクラはマメ科のように枯れてカラカラになるまで放置しておけば簡単に種を採ることができます。
サヤ2つ分くらいで十分すぎる量が採れると思います。
オクラも毎日コンスタントに採れる野菜なので毎年育てていきたいですね。
メロン・スイカ・とうもろこしなど美味しくいただいた野菜からも採取
- アカニクメロン
- スイカ
- とうもろこし
スイカやメロンも夏野菜の定番ですね。
スイーツの分類ですが、とうもろこしも甘いのでどちらかというとデザート路線ですかね?
メロンやスイカは食べる際に大量の種が入っていますね。
それを取っておくだけで種として使うことができますし、時期が早ければ食べた種をまいても収穫までこぎつけることができます。
1度で2度おいしい思いができるかもしれないのでメロンやスイカを種から育ててみるのもいいと思います。
また、とうもろこしは種の部分を食べるのでスーパーで売られているとうもろこしを乾燥させるだけで種として保存することができます。
私の場合は乾燥させてから種まきしてみて、無事発芽することを確認できましたが乾燥させずにそのままでも発芽するんでしょうね、きっと。
食べ頃をすぎてしまったとうもろこしをそのまま全部種に回したのでかなり大量のとうもろこしの種を確保することができましたよ。
自家採取した種を育てて土地にあった野菜に変えていく
今年はF2種、つまりF1種から種取りした野菜も育てました。
- オクラ
- ミニトマト
オクラに関してはサヤがやや赤みを帯びたものがありましたし、生育も結構マチマチでした。
日当たりの差もあったように感じますが、虫食いも株によってまちまちですが長く収穫できたものとすぐにダメになってしまったもので差が大きかった印象です。
今年も種取りしましたが、結果的には長く収穫できたものから種を採ることとなりました。
こうやって野菜が土地になじんでいくんですかね?
ミニトマトに関しては株数が多かったこともありますが大豊作で食べきれないほどでした。
来年も同じような収穫が続いてくれればいいのですが、特に株によって出来が悪いとかそういう感じはありませんでした。
味もよくて多収だったのでとにかく大満足でしたが、お盆時の長雨ですべて裂果してしまったのだけが心残りでした。
なんとか育て続けた株からようやく再収穫できそうですので念のため種取りしておきます。
ミニトマトはすでに問題なさそうなので来年も引き続き育てていきたいですね。
自家採取して土地にあった野菜を育てていこう
今回は自家採取できた夏野菜の種について紹介しました。
夏野菜は果菜類が多いので種取りは比較的簡単なものばかりです。
ただ、ホームセンターで売られている苗・種はほとんどがF1種ばかりですのでF2種=第2世代になった際はよい野菜ができるかどうかは50%になります。
それでも継続的に栽培・種取りを続けていけばご家庭の菜園・気候にあった野菜に少しづつ変わっていくはずですし、なにより育苗~収穫・種取りまですべて通しでできるようになると愛着がわいてきますよね。
簡単に育てたいのであればホームセンターで苗を買うのがおすすめですが、手間暇かけて大事に育てていきたいのであればぜひ夏野菜の自家採取に取り組んでみて欲しいです。
興味がある方は参考にしてみてください。
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